YURUMEGU YOGA

今日私はバイト先で初めてのヨガを受けることになった。

普段パソコンやスマホに向かうことが多い私は体に負担をかけているだろうと薄々理解はしていた。

だが、家に帰ればTVゲームを始め、普段の縮こまった筋肉を伸ばすことない毎日を送っている。これでも私は自分の身体を労ることはしてやりたいと思っていた。

そして今日、バイト先で初めてのヨガを受ける機会が訪れた。

松井さんがリモートで8BOOKsでヨガレッスンを行うらしい。｢良ければスタッフさんも｣と声をかけてくれた。もちろん行くと答える。

そして時間になる。子供たちが遊ぶことの多い2階のスペース。今日は私たちの安らぎの場だ。

松井さんは笑顔で、ヨガで鍛えられただろう健康的なスタイルのいい身体を私たちと画面の向こうへ見えるように待機する。

始まると松井さんは｢皆さんはどこが凝っていますか｣とまるで久しぶりに会った友達が最近の調子を聞くかのように問いかける。

「首が凝っていて」「足が浮腫みやすい」どうやら参加している皆さんお疲れらしい。

松井さんはそれに応えるように、「では今日は全身をほぐしていきましょう」と言った。

今日のヨガで伸ばす部位は全身に決まった。

「最初はヨガではなくマッサージで筋肉をほぐしていきましょう」

松井さんの真似をし、足を中心にほぐしていく。

足の裏、足首、ふくらはぎ、膝の裏、太もも…

徐々に徐々に凝り固まった足がほぐれていく気がする。気持ちいい。

だが、それにしても痛い。私は21歳になったばかりでまだまだ若いと思っていたが、日頃からの疲労はちゃんと身体に凝り固まっていたらしい。

「ここを押すと胃に効いてます」松井さんはほぐす場所ごとに効いている身体の箇所を教えてくれている。私はその度に日頃の生活を振り返る。

(徒歩で通勤だから足がこんなに浮腫んでいるのか…)

(姿勢が悪いからこんなに硬いのか…)

自分の身体に溜まった疲れを理解していく。もっと自分を労わろうと、そう思った。

セルライトを潰す拳に力が入る。

ゴリゴリと何かが凝り固まっていることを認識する。筋肉が分かりやすく柔らかくなっていくのを感じた。

とても嬉しい。

足をほぐしたら、いよいよ全身に効くヨガが始まる。

さっそく身体を伸ばしていく。

心がリラックスしているのを感じる。

見よう見まねではあるが、体が伸びているのを感じる。血液が流れる。身体が暖かくなる。

ヨガをしないと絶対にやらないだろうというポーズで身体を伸ばしていく。

一見ヘンテコに見えるだろうが、これがなんとも言えないぐらい気持ちがいい。

寝る体勢に腕を下へ潜らせるだけで、胸の方が伸びる。そんな簡単な姿勢で身体がスッキリとしてくる。

私の猫背で丸まった胸がぐーんと伸びていく。

とても気持ちがいい。ここに参加しているみんながそう思っているだろう。誰も喋らずこの体勢でしばらくリラックスする。

(帰ったら何しようか、夕飯は何食べようか…)と考えているうちに意識がどこかへ飛んでいく。

どうやら寝てしまったようだった。ヨガのリラックス効果の凄さに心の中で静かに興奮してしまった。

そして、その後も真面目にヨガを受け、今日の松井さんのヨガレッスンは終わった。

「「ありがとうございました。」」

画面の向こうからも参加者が松井さんに感謝を伝える。

私たちも、今までの身体の凝りを解放させた身体に興奮を隠せなかった。

思わず軽くなった身体を動かしながら、驚きと感謝を伝える。

そんな私たちに松井さんは｢身体が変わったと言ってくれるととても嬉しいです｣と笑顔で答えた。

私は家までの帰り道、一日勤務したと思えない足の軽さに感動しながらこの記事を書いている。

今頑張って働かせてきた私の身体は久しぶりに癒されたいい機会となっただろう。