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8BOOKsには約1万冊の本が並んでいます
#本をひらくとき と題したこの企画では
8BOOKsにご来館される方々のおすすめの一冊をご紹介
これから8BOOKsで何を読もうかな?
どんな本が私にぴったりかな?
と思った時は、#本をひらくとき を参考にしてください
もちろん、紹介した本はすべて
8BOOKs SENDAIでお読みいただけますよ
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“ 今回ご紹介する本 ”
『おいしいごはんが食べられますように』
著 者:高瀬 隼子
出 版 : 講談社
紹介者:人との距離に悩む社会人4年目
2022年芥川賞を受賞した今作
職場内の3人の三角関係を描いた職場小説です。
おいしいごはんの本。ではありません。
端的に言えば「職場内の三角関係についての物語」なのですが、読み進めるにつれ職場内の人間関係に焦点が当てられていることがわかります。
作中に出てくるどの人も、身近に確実に存在している人物に思えるし、実際私も作中に出てくるひとりの人物に自分を重ねて読み進めていました。
表現されるひとつひとつの感情に私は身に覚えを感じるのと同時に「割りを食っている人へのまなざし」が、この本を通して世間の人々に認識されるのではないかという可能性を感じます。
作中では日常、あるいは職場で感じるあらゆる不快や不穏が著されているのですが、最後の一行の気味の悪さは絶品。
「頑張っている人が割りを食い続ける日常」が繊細な筆致で描かれた「おいしいごはんが食べられますように」
たった150ページに人間の本質が表現された傑作でした。
記事を書いた人
山田
デザイン企画
1996年生まれ。宮城県石巻出身、仙台在住。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)空間演出デザイン学科卒。8BOOKsではデザインに関わる仕事を担っている。遠出が極端に苦手だが、散歩は好きで、引っ越しの回数は人より多い。
好きな作家
三浦綾子
高瀬準子
町田康
モーパッサン